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弾性力学的見地から解説をします
異種材料の接着・接合による応力集中発生のメカニズムと
その応力解析と強度評価
講座概要
特性の異なる材料を接合して作成される異材接着接合体は、界面端に発生する特異応力場により、その強度が低下します。
本講座では、まず接合界面に生じる厳しさの程度を表す、応力やひずみの考え方を、基礎から応用まで具体例を挙げてわかりやすく説明します。
次に、強度評価に必要な特異応力場の考え方と特異応力場の強さを求める手法を解説します。
最後に、接合体の強度評価および特異応力場の解析に関する最新の研究成果を紹介します。※ 現在抱えている固有の問題がございましたら、一般化するなどして公開可能な形式で事前にお知らせください。当日の講義では、それらを可能な限り回答いたします。
期待される効果
- 異種材料の接着・接合界面の現象の理解
- 弾性力学の観点からの接着接合界面に生じる応力集中現象の理解
- 応力とひずみや応力集中の基本的な考え方と解析・評価方法
主な受講対象者
- 接着・接合に従事する研究者・技術者
- 特に異種材料(樹脂と金属等)の接着・接合に従事している方
- 接着・接合の強度評価や接着信頼性を検討する立場の方
セミナープログラム(予定)
1. 接着接手の強度と接着材の強度について
1.1 接着界面の特異応力場とは?
1.2 接着強度は特異応力場の強さ2. 接着力発現の原理
2.1 凝集破壊と界面破壊
2.2 接着剤接合部の結合エネルギー
2.3 接着材の強度と界面の強度3. 接着界面の応力分布と特異応力場の強さISSF
3.1 接着界面の応力分布のFEM解析
3.2 接着強度の特異応力場の強さISSFとは
3.3 接着強度は特異応力場の強さISSF=一定で表される4. 特異応力場の強さISSFの求め方
4.1 FEM応力と真の応力
4.2 FEM解析で生じる問題点
4.3 材料の弾性定数は均質材の応力集中にどのように影響するか?
4.4 異種接合材料の弾性定数はその応力集中にどのように影響するか?
4.5 金属と金属、金属とセラミックス、金属と樹脂など、材料の組み合わせはその応力集中にどのように影響するか?
4.6 異種接合における応力とひずみの考え方5. き裂の応力拡大係数とその応用
5.1 き裂の評価に用いられる応力拡大係数=ISSF
5.2 き裂長さのISSFへの影響
5.3 内部き裂と縁き裂
5.4 き裂のどの位置が最も厳しいか(応力拡大係数の最大値はどこに生じるか)?
5.5 応力拡大係数はどのように用いられるか?6. 接着接手試験片における3次元形状の影響
6.1 接着接手のどの位置が最も厳しいか(ISSFの最大値はどこに生じるか)?
6.2 接着接手の破壊起点とISSFの関係7. 接着接手試験片形状とISSFの関係
7.1 接着接手試験片形状とISSFの関係
7.2 種々の接着寸法に対するISSFの推定8. 接着強度を合理的に評価する試験法
8.1 ISSF=一定で接着強度が表される理由
8.2 Single Lap JointとDouble Lap Jointの強度の違い
8.3 曲げ変形を最小化する試験片形状9. 異種材料の接着接合についての質問と回答
講師プロフィール
野田 尚昭(のだ なおあき)
九州工業大学 名誉教授
工学博士
専門は材料力学・弾性力学。公表された論文は400件以上。
素形材産業技術賞素形材センター会長賞、日本材料学会学術貢献賞、日本塑性加工学会論文賞/教育賞、日本設計工学会論文賞、日本機械学会材料力学部門賞貢献賞/業績賞、などを受賞。
著書には、『演習問題で学ぶ釣合いの力学』(コロナ社、2011年)、『設計者に活かす切欠き・段付き部の材料強度』(日刊工業新聞社、2010年)、『設計者のためのすぐに役立つ弾性力学』(日刊工業新聞社、2008年)、『Q&Aでわかるリスクベース設計のポイント』(日刊工業新聞社、2006年)、『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社、2017年)、『演習問題で学ぶ材料の力学』(コロナ社、2022年)などがある。
日本機械学会フェロー、自動車技術会フェロー。