応力集中発生のメカニズムを理解して設計に活かす
応力・ひずみの基礎と
CAEを用いた応力集中解析および強度評価
講座概要
応力集中部を有する機械や構造物の危険箇所を把握することは、機械系エンジニアにとって極めて重要ですが、複雑な数式や理論の短時間の解説だけでは、十分な理解が得られません。
本講座では、これまで産学連携による新製品の開発を行ってきた、講師の豊富な経験に基づいて技術者が理解困難な応力集中の発生のメカニズムを説明します。
応力やひずみは材料力学で最も基本的な概念です。単に数式で表すのではなく、実務上で必要となるポイントを解説します。
さらにさまざまな、シミュレーションや数値実験をどのように行って、その解析データや画像をどのように分析したのか、それによってどのような知見が得られたのかを、具体的事例で紹介します。
※ 現在抱えている固有の問題がございましたら、一般化するなどして公開可能な形式で事前にお知らせください。当日の講義では、それらを可能な限り回答いたします。
主な受講対象者
- 応力やひずみを理解して、応力集中がどこに生じるのかを把握する必要のある技術者
- CAEをどのように使用すれば合理的な設計ができるのかを理解する必要のあるエンジニア
- 材料力学や機械設計法を学生時代に学んだがそれらを実務で使用する上でのポイントを理解したい方
期待される効果
- 応力・ひずみの基礎から応力集中の実践的な解析法までを理解し、機械設計に活かす
- 円孔や切欠きの応力集中発生のメカニズムとそれを有する部材の強度評価法を理解できる
- き裂が生じた場合のその厳しさを直観的に把握して、機械設計に活かすことができる
- 異種材料接合部の厳しさを直観的に把握して、機械設計に活かすことができる
セミナープログラム(予定)
1.CAEによる応力集中解析事例紹介と応力とひずみの考え方
(1)応力集中部に生じる応力とひずみとは?
(2)応力集中部の形状が変化すると応力とひずみはいかに変わるか?
(3)衝撃荷重が加わると静的荷重に対して応力とひずみはいかに変わるか?
(4)強度研究用試験片に生じる応力とひずみとは?なぜ重要か?2.CAEによる異材接合解析事例紹介と界面に生じる応力とひずみの考え方
(1)界面に生じる応力とひずみとは?
(2)材料の組み合わせが異なると応力とひずみはどう変わるか?
(3)CAEにより得られた応力は実際の応力と同じか?違うのか?
(4)CAEを有効利用するために必要となる応力とひずみの基礎知識とは?3.応力とひずみの基本的な考え方
(1)応力とひずみとは何か?どのような種類があるのか?
(2)応力とひずみがゼロとなるのはどこか?どこで最大となるのか?
(3)垂直応力とせん断応力のプラスやマイナスの意味とは何か?
(4)極座標で表した応力とひずみの意味とは何か?
(5)引張りやねじり負荷ではどのような応力とひずみが生じるのか?
(6)切断面にはどのような応力やひずみが生じるのか?4.形状の不連続により生じる応力集中の考え方
(1)円孔による応力集中とは?
(2)楕円孔による応力集中とは?
(3)切欠きによる応力集中とは?5.き裂による応力集中の考え方
(1)き裂による応力集中を表す応力拡大係数とは?
(2)どの位置で応力拡大係数が最大となるか?
(3)有限板のき裂と無限板のき裂の違い6.強度評価への応用について
(1)平滑材の強度と切欠き材の強度について
(2)引張強度と疲労強度について
(3)切欠き材の疲労強度について7.解析事例の紹介と注意事項
(1)新型ガスケットレス管継手の開発(2001~)
(2)世界初大型セラミックスロールの開発(2008~)
(3)圧延ロールの内部起点疲労破壊の強度解析8.受講者それぞれの固有の問題に関してCAE解析によるアプローチの仕方・解決策のご提案
講師プロフィール
野田 尚昭(のだ なおあき)
九州工業大学 名誉教授
工学博士
専門は材料力学・弾性力学。公表された論文は400件以上。
素形材産業技術賞素形材センター会長賞、日本材料学会学術貢献賞、日本塑性加工学会論文賞/教育賞、日本設計工学会論文賞、日本機械学会材料力学部門賞貢献賞/業績賞、などを受賞。
著書には、『演習問題で学ぶ釣合いの力学』(コロナ社、2011年)、『設計者に活かす切欠き・段付き部の材料強度』(日刊工業新聞社、2010年)、『設計者のためのすぐに役立つ弾性力学』(日刊工業新聞社、2008年)、『Q&Aでわかるリスクベース設計のポイント』(日刊工業新聞社、2006年)、『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社、2017年)、『演習問題で学ぶ材料の力学』(コロナ社、2022年)などがある。
日本機械学会フェロー、自動車技術会フェロー。