無線通信技術をハードウエア事例で直感的に理解する
エンジニアが押さえておくべき無線通信技術の基礎
《3時間速習マスター》
講座概要
昨今の無線装置機は、ICやチップセットで実現しているものが非常に多い状態です。また、無線信号の変調復調も信号処理で実施されているため、無線通信技術の原理を知らずに無線機設計がされるケースも珍しくありません。
例えば、Bluetooth、無線LANなどの身の回りにある無線機器は、ほとんどがワンチップで構成実現されているというものが沢山あります。回路設計者、装置設計者は、それらのチップを「ブラックボックス」として採用するだけで、他の付加価値の設計に終始しているケースがあり得ます。
しかし、そういったときに「無線信号が繋がらない」「信号が伝わらない」という問題が発生すると、対策方法や処置方法が分からず困ってしまうことがあります。これらは、多くの技術者が「無線LANは繋がって当然、だから自分の装置の無線もつながって当然」と考えてしまうように、無線通信の正しいイメージを持っていないことから生じます。
本講座は、無線通信について直感的でありながら確かな感覚を得ることができ、ハードウェアで無線信号の伝送を実現する方法をしっかり理解していただくことを目的としています。無線通信技術の物理的な理解と、無線通信を実感する足掛かりを3時間で習得しましょう。
主な受講対象者
- 無線通信以外を専攻としていた装置メーカの電気設計技術者、チームリーダ
- 電気電子の知識は多少あるが、無線については専門的に学んだことがない技術者
- これから無線機設計をする可能性がある技術者
- 無線トラブルが生じている装置を担当している技術者
- 信号処理の計算やソフトウェアの取り扱いなど、机上の知識や経験はあるが、無線通信を物理現象として理解したい技術者
- 制御・ソフトウェア専門であり、ハードウェアとしての無線機を理解したい技術者
期待される効果
- 無線通信技術の物理的側面がわかり、無線通信機の機能を本質的に理解できる。
- 受講者の担当分野の設計において、無線機能を基本設計やシステム設計に活かすことができるようになる。
セミナープログラム(予定)
1.一般事例紹介
無線LANが使える条件やありがちな間違い事例1.1 身近な無線通信、何ができる
- インターネット、EC、ケーブルレス
1.2 無線LANが使える条件は何か
- 電波伝搬、アンテナが電気的に見える2.無線技術に何が使われるか
身の回りの「無線機器」紹介、送信優先と受信優先2.1 無線技術概要
- 屋内、屋外、固定と移動
2.2 赤外線の特徴
- 目に見える範囲 テレビリモコン、ラジコン 電波法に影響しない
2.3 電波の特徴
- 目に見えない範囲 回折・モノを突き抜ける、光と同じ性質、LTE、SUICA、3.無線通信をイメージする
電磁波・光の性質 波の性質 音波で事例など3.1 無線の特性
- 周波数と伝達の関係のイメージ(VLF~ミリ波) どんな周波数帯があるか
3.2 無線機の構成(システム構成)
- 無線系統などの例 どのような要素があるか
3.3 アンテナの原理
- 共振と整合、電力励起・共振、電波の行き帰り アンテナ整合、VSWR
3.4 電力増幅と受信電力
- 送信機と受信機 距離の2乗に反比例(自由空間損失計算式)
3.5 S/N(C/N)の考え
- 信号とノイズSINAD 所要S/N 電信、音声、データ伝送、EVM
3.6 ダイナミックレンジとは
- 感度、分解能、APC、AGC
3.7 トラブル事例紹介
- 信号とノイズ 無線信号を見える化4.電波に情報を載せるためには
Baud、実効伝送速度 ハードウエアでの実現と解説4.1 変調と復調
- AM、FM、PM 多値変調、データ伝送 QAM
4.2 通信方式の今昔
- 周波数変換、ダイレクトコンバージョン
4.3 無線通信技術キーワード紹介
- TDM、CDM、OFDM、SS、FH、5.質疑応答
章ごとにも都度質疑応答を入れる予定
講師プロフィール
田口 恵一(たぐち けいいち)
コスモICT イノベーション 代表
無線通信技術コンサルティングエンジニア
無線技術で未来創造ナビゲータ / ICT最適化プロデューサ
- 1989年4月~2017年7月 日本無線株式会社 特機事業部
- 2017年8月~2021年8月 株式会社XrossVate、スタック電子株式会社、日本ソルテック株式会社 など
- 2022年10月 コスモICT イノベーション
無線機メーカの電気技術部門に約30年所属し無線通信機器開発を多数経験。
無線通信を軸に通信技術コンサルティング、電気製品の有用性・価値を展開。
通信関連で20数件の特許を出願し、様々な無線通信装置に適用。
無線・有線装置のシステム、情報通信技術、回路設計、EMI、顧客への技術・製品提案。部下指導、技術教育、労務管理、原価管理、業務改善、利益率改善等にも知見あり。
会社員の時、技術追求での高性能製品開発を行ったが、顧客の100%満足を得られなかった。
顧客と共に運用試験を実施した結果、求めている使い勝手とは焦点が微妙にずれていることに気づかされた。その後は、設計の前段階で真に要求される運用に適した仕様検討により、顧客の満足度が向上し、技術は最新で無く、最適であることが最も重要である事を学んだ。
製品開発において大切な事は、技術第一主義でなく、運用第一主義が重要な思想である。
この経験から、「ニーズは、最新でなく、最適にある」ことを念頭に活動推進中。