《車載プラに要求される通常の機能から、EV向けに要求される仕様まで丁寧に解説》
次世代モビリティにも対応するための
車載用プラスチックの基礎と最前線
講座概要
プラスチックの利用は、カーボンニュートラルなクルマ作りには欠かせない観点です。自動車の材料を金属から樹脂へとシフトし、車体を軽量化することで、温室効果ガス排出量削減が可能になるからです。
もともと自動車部品には内装・外装部品をはじめとして多くのプラスチックが使われています。しかし、継続的な改良により、様々な機能部品へとプラスチックの活躍の場も広がり続けています。
これら車載用プラスチックは、一般のプラスチックに比べて過酷な使用環境と長期安定性を実現する特殊な性能をもつエンジニアリングプラスチックでもあります。
また、樹脂はその成形方法から、金属部品ではもつことのできない付加価値も持たせることができます。
次世代モビリティとして注目されるEVでは、ガソリンエンジン車とは構造や機能部品構成が異なるため、車載用プラスチックとしても従来と異なる開発課題が生じます。
さらに環境にやさしい車を目指すため、車載プラスチックそのものもカーボンニュートラルを目指し、サーキュラーエコノミーやリサイクル、植物由来樹脂の使用など新たな視点が必要とされています。
本セミナーでは、車載プラスチックの基礎知識をおさらいし、またEVにも対応するための条件やプラスチックによる環境対応の最新状況まで一挙に紹介します。
期待される効果
- 活用の狙い、課題とその対応から、車載プラスチック活用の本質を理解します。
- 狙い達成のための進化も含めて現状の活用状況を写真中心で理解します。
- モビリティ業界における2050年カーボンニュートラル、SDGsへの取組みの重要度とその対応方法の現状を整理します。
- EVやFCV、水素エンジン、ADAS、自動運転等、今話題となっている情報を整理します。
主な受講対象者
- 自動車メーカー、自動車部品メーカー等自動車関連企業にお勤めの技術者の方で、車載プラスチックの最新動向を知りたい方。
- 材料・素材メーカー等、自動車部品装置や部品等を扱う企業の若手開発者、学生、営業・マーケティング担当者、カーディーラー、金融機関等の方で、最新情報を基礎から学びたい方。
セミナープログラム(予定)
1 . 車載プラスチックの狙いと課題対応
1-1 活用の狙い
コスト低減/軽量化/高品位化
1-2 活用における課題
耐熱性/剛性/耐久性/耐環境特性
1-3 課題対応の知恵2 . 自動車部品への活用 歴史と今
内装部品/外装部品/機能部品3 . 車と車載プラスチックを取り巻くカーボンニュートラルの現状
3-1 環境問題 SDGs カーボンニュートラル
3-2 プラスチックとしての対応
サーマル/メカニカル/ケミカルリサイクル、植物由来
3-3 Scope1/2/3の整理
3-4 取り組み現状の例
トヨタ自動車/主要なケミカル素材メーカ/欧州4 . 次世代モビリティの整理整頓
5 . EV/FCV関連課題と業界動向
5-1 プラットフォーム・パッケージ バッテリーと高圧水素タンク
5-2 カーメーカの大変革 水平分業、新興企業(ソニー、鴻海・・・)6 . 新機能とプラスチック
6-1 車内快適空間 内装大変革
6-2 V2Xコミュニケーション
6-3 軽量化
講師プロフィール
高原 忠良(たかはら ただよし)
株式会社Tech-T 代表取締役
埼玉工業大学客員教授
博士(工学)
プラスチック成形加工学会、自動車技術会 会員
- 1980~1989 新日本無線株式会社(現社名:日清紡マイクロデバイス) 高融点金属・セラミックの研究
- 1989~2012 トヨタ自動車 樹脂部品生産&材料・加工技術・CAE開発
- 2012~2015 SamsungSDI(サムスンSDI 韓国本社)エンプラ研究所
- 2015~2017 大手自動車メーカ 研究所 次世代車要素技術開発
- 2017~ 埼玉工業大学 客員教授
- 2020~現職 株式会社Tech-T(ビジネスブランド名:技術オフィスTech-T)設立
トヨタ自動車ではエンジニア、そしてマネージャとして、開発・製造に従事。その後、韓国でサムスン本社の研究所で、エンジニアプラスチック(エンプラ)材の開発から拡販までを担当。
いずれの企業にも共通し、どこでも誰でもすぐに使える優れた「業務プロセス要素」分解の考え方から、ひとづくり、人材育成、マネジメント分野の指導にあたる。
また、エンプラはそれ自体が環境負荷が高い材料でありながら、部品軽量化からの省エネにつながるカギとなる技術でもある。これらエンプラの固有技術を通して、SDGsにおいて重要な意味を持つ「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」目標において、脱炭素社会を目指した指導を行うことができる。
埼玉工業大学の客員教授として、デジタルツインによる新たなモノづくりを研究。
AIおよびそのためのデータ収集等、製造業におけるIoT活用を中心に、産官学連携の知見を有する。