- このイベントは終了しました。
塗工のスロット方式とコンマ方式、乾燥の各種方式の特徴とツボを解説
Roll To Roll製造の実務ノウハウも満載!
リチウムイオン電池の電極製造における間欠塗工技術
《 前提理論から製造現場実務・トラブル対策まで総整理 ! 》
講座概要
リチウムイオン電池(LiB)の電極量産工程で汎用の間欠塗工方式は、各メーカーの独自開発で進化してきたため、体系的に整理した解説は少ないのが現状です。しかし課題への対策は共通しており、間欠塗工全般を俯瞰した整理に価値があります。
本セミナーでは、各社の特許事例を基に間欠塗工の変遷と各方式の特徴を整理して紹介します。また、間欠塗工に用いるスロット塗工とコンマ塗工、乾燥プロセスの理論について、化学工学を専門としない技術者でもわかるように数式を排して解説します。さらに、製造現場で技術者が直面する幾多ものトラブルを解決する手法もまとめました。
これらの「理論」 と「現場ノウハウ」をバランスよく知ると、より良い製品を作りやすくなります。このセミナーでは、現象イメージ作りを助ける演習ツールも用意し、LiB新製品の開発や製造現場の課題解決を全方位的にサポートします。塗工やフィルム製膜のグローバル企業でモノづくりの工程・製造技術経験を積んだ講師が、製造技術に関する様々な理論の具体的な現場応用の方法について解き明かします。
期待される効果
- 塗工の理論のイメージを得ることができる
- 「塗れる」「塗れない」の判断基準が身に付く
- 現場のトラブルシューティングの勘所が身に付く
主な受講対象者
- 塗工技術に関わる現場の技術者、リーダー
- 塗工開発品に携わる素材研究者、化学系技術者
- リチウムイオン電池、間欠塗工、に携わる研究者
セミナープログラム(予定)
1. リチウムイオン電池塗工の概要
1-1. フィルムが利用されている製品は?
1-2. フィルム部材の役割
1-3. 性能の変遷(半導体)
1-4. 性能の変遷(リチウムイオン二次電池)
1-5. リチウムイオン二次電池の構成
1-6. 正負電極の塗工方法(間欠塗工)
1-7. 間欠塗工の動画
1-8. リチウムイオン電極の塗工ライン(A)
1-9. リチウムイオン電極の塗工ライン(B)
1-10. リチウムイオン電極の塗工ライン(C)2.特許に学ぶ間欠塗工の変遷
2-1. 初期の電極製造(直交貼り合わせ方式)
2-2. 初期の電極製造(マスキング)
2-3. 初期の間欠塗工(開閉ブレード)
2-4. コンマロール着脱方式
2-5. コンマロール断続回転方式
2-6. スロット間欠方式(流量・ギャップ可変)
2-7. スロット沈降対策
2-8. スロット端部厚み調整
2-9. コッタによるギャップ調整
2-10. 塗り切り厚み調整(ギャップ法)
2-11. 厚塗り対策エア噴射
2-12. マニホールド・リターン
2-13. ポンプ・バルブ法
2-14. ピストン開閉法
2-15. 回収バルブ遅延方式
2-16. 開閉バルブ圧力制御方式
2-17. バルブ弁・ギャップのハイブリッド方式
2-18. 背面減圧
2-19. 背面減圧とエッジ分布
2-20. 減圧の安定化(バッファとオリフィス)
2-21. 基材サクション
2-22. バックアップサクション
2-23. 逆転スロット
2-24. 表裏厚み分布
2-25. 表裏の塗り位置同期
2-25. 表裏の塗り位置同期
2-26. 表裏の塗り位置ズラシ
2-27. 両面塗工の基材エア保持
2-28. 両面塗工の塗工安定板
2-29. 圧延クラウンローラー
2-30. 加熱プレス分布によるカール補正3. スロット塗工方式の概説
3-1. 塗工方式に分類(ダイ方式は3種類のみ)
3-2. 実験サンプルとRoll To Roll生産の違い
3-3. 塗工液濃度の決め方と適した塗布方法
3-4. Roll To Rollのスロット塗工設備
3-5. ダイヘッドの向きは?
3-6. 薄く塗る時、厚く塗る時
3-7. 流れイメージに役立つCouette-Poiseuille流
3-8. Poiseuille流
3-9. Couette流とPoiseuille流のバランス
3-10. スロットダイのCouette-Poiseuille流
3-11. ビード内の剪断速度
3-12. 剪断速度のオーダー
3-13. 背面減圧しない操作方法
3-14. 塗付けの流動
3-15. マニホールド構造
3-16. ダイ内の流れ
3-17. 円管・マニホールド・スロットの流動
3-18. マニホールド断面形状と幅流量分布
3-19. テーパー・スロットによる幅分布補償
3-20. 幅分布を均一化するために
3-21. シムとエッジの厚塗り
3-22. 超硬スロットダイ(M)
3-23. テンションド・ウェブ方式
3-24. テンションと流体圧のバランス
3-25. ギャップの見積もり
3-26. Coating Window
3-27. スロット渦
3-28. リップ形状
3-29. リップ形状と塗布性4. コンマ塗工方式の概説
4-1. ブレード塗工
4-2. コンマロールたわみ
4-3. コンマロール保温
4-4. 給液方法
4-5. 接合通過
4-6. ストライプ塗工
4-7. 液ダム内の流動
4-8. バックプレート
4-9. ダム液面と底面
4-10. 液ダムの液漏れ防止フィルム5. 乾燥のツボ … 設備・乾燥時間・膜質再現の考え方
5-1. 乾燥現象の支配因子
5-2. 乾燥方式と乾燥能力
5-3. 乾燥効率の支配因子(噴流)
5-4. 多孔板と二次元ノズル(軸対象とスリット)
5-5. 溶媒の寄与(水と他の溶媒の比較)
5-6. 塗膜の表面温度は湿球温度(空気線図)
5-7. 各溶媒の空気線図
5-8. 他の溶媒との違い ~ 飽和蒸気圧と温度
5-9. 乾燥に関わる物性値
5-10. 定率期間と減率期間
5-11. 減率乾燥速度
5-12. 簡易計算法(乾燥係数 N=1/2~2/3)
5-13. 膜内の溶媒移動
5-14. 乾燥計算の練習
5-15. 減率乾燥を実測で見積もる方法
5-16. 減率乾燥を実測で見積もる手順
5-17. 2成分系の減率乾燥(MEK+トルエン)
5-18. 2成分系の乾燥挙動
5-19. 2成分系で乾燥速度を概算したい場合
5-20. 調湿時の含水率履歴
5-21. 凝集系の乾燥
5-22. 乾燥過程の粘弾性変化6. Roll To Roll製造のオンライン厚み評価(坪量法)
6-1. 坪量によるフィルム厚み計測の変遷
6-2. 坪量による厚さ計の測定原理
6-3. 基材フィルムの厚み計測
6-4. 塗工膜の厚み計測7. Roll To Roll製造の異物検知と対策
7-1. 異物の検知方法
7-2. 異物の分析方法
7-3. バッテリー材料(アルミ電極のエッジ粉と延伸オイル除去)
7-4. Wet除塵(浸漬のみ)
7-5. トラブル時の工程分離
7-6. 異物の付着状態
7-7. 異物の除去方法
7-8. 帯電列と表面抵抗
7-9. クリーン度と換気
7-10. クリーンルームへの入室段取り
7-11. エアシャワーと靴裏汚れ8. WetからDryへ
9. 塗工プロセスの課題とトラブルの種類
9-1. トラブルの分類(スケールアップ、要因変更、製造トラブル)
9-2. なぜトラブルが多いのか?(局面で異なるアプローチ)
9-3. 要因変更のベンチマークの設定方法
9-4. 速度アップと補償(塗工)
9-5. 速度アップと補償(乾燥)
9-6. 速度アップと補償(搬送シワ)
9-5. 速度アップと補償(擦り傷)
9-7. 速度アップと補償(ベアリングの劣化)
9-8. 速度アップと補償(巻芯写り)
9-9. 速度アップと補償(巻ズレ)
9-10. 速度アップと補償(調送液)10. 突発の製造トラブル
10-1. よくあるトラブル事例
10-2. アプローチ(直観か堅実化か)
10-3. 工程分離
10-3-1. 塗布前か塗布後か?
10-3-2. 塗布液かフィルムか?
10-3-3. 塗布部か送液か調液か?
10-3-4. 原反か巻出し後か?
10-4. トラブル時のアクション11. トラブルシューティングの手法
11-1. KT法-ATSの基本的考え方
11-2. 差異の整理(Is と Is Not)
11-3. 仮説の検証
11-4. 留意点12. トラブルを未然に防ぐために
12-1. 役割分担(製造、品質保証、技術、保全)
12-1-1. 三位一体~三権分立
12-1-2. トラブルの分類と対応(設備・品質・技術)
12-2. ロットスケールと頻度
12-3. ロット前後のイベント
12-3-1. ロット前後のイベント(ロット後フォロー)
12-3-2. ロット前後のイベント(ロット前ミーティング)
12-3-3. ロット前後のイベント(PPAミーティング)
12-3-4. 前ロットとの比較(4M1Eで差異を整理)
12-3-5. 素材の評価と補償
12-3-6. 先発テスト
12-4. 標準化
12-4-1. 標準の制定
12-4-2. 標準の改定(要因変更の標準化)
12-4-3. 条件の規格幅と管理幅13. 円滑な対処を目指して
13-1. 工程分離の仕掛け
13-1-1. 搬送(ロール径、ナンバリング)
13-1-2. バッチ・原反の投入順
13-2. 平時のデータ取り
13-3. コミニュケーション
13-3-1. 袋小路に入らぬよう
13-3-2. 担当者とチーム運営(リーダーは一歩引く)
講師プロフィール
浜本 伸夫(はまもと のぶお)
AndanTEC 代表
- 1992年 北海道大学 工学部 合成化学工学専攻 修士修了
同年 富士写真フィルム 塗工を中心としたフィルム生産工程業務に従事 - 2007年 同社 フラットパネル生産部 主任技師(管理職)
- 2013年 サムスン電子 総合技術院 素材開発センター 主席研究員 新素材開発に従事
- 2019年 栗村化学 工程開発チーム長 粘着フィルム・離型フィルム等の工程開発
- 2021年 米国 Zymergen社 シニアマネージャー バイオ由来ポリイミド開発
- 2022年 ミドリ安全 商品開発部 ジェネラルマネージャー ニトリルゴム手袋開発
- 2023年 AndanTECとして執筆・講演・コンサル業を開始