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《これであなたも定性分析のプロ!知らねばならない基礎知識と分析実務を網羅》
異物鑑定・実践七つ道具(中級~上級)
― 付着物,フィルター補足物,スラッジ,沈殿浮遊物,濁り,腐食,異同識別 ―
講座概要
一般的に、定性分析に関する参考書やセミナーは、分析装置ごとの、あるいはターゲットごと(無機定性分析など)の解説が多いと思います。
ところが異物等の実サンプルでは、多種類の物質で構成された混合物であることが多いため、サンプルを単に分析装置に掛けて結果が得られるほど簡単なものでもありません。
また、異物という概念の幅は非常に広く、異物鑑定が必ずしも「微物」鑑定となるわけでもなく、分析屋さんは日々有象無象の事物に対処できるある程度の知識と、自分の持つその知識の幅を鑑定の場で100倍にも広げうるノウハウを持ち合わせる必要があります。
このセミナーでは、単にサンプルを単にFTIRやGCMSに掛けただけでターゲットが判明してしまうような簡単なケースではなく、成分が複合した難易度の高いケースを想定しています。
したがって、重視すべき工程がサンプル前処理とスクリーニング分析であることを理解し、実効性のあるスキルを身に付けます。
また、こうした実務に即した手法をひとつのパッケージとして捉え、以下の8つのポイントから解説するものです。
<定性分析の8つのポイント>
1. 七つ道具の適用によって,確実に物質特定が可能となる。
2. 定性分析は分析結果そのものではなく,その解釈である。
3. 分析結果を解釈するには最小限の知識の習得が必要である。
4. 少ない知識を十二分に活用する。(100の知識を10000にする手法)
5. 何でも機器分析で行なおうとする考えでは効率化は計れない。
6. スクリーニングの重要性を認識し,実践できる環境・態勢を整える。
7. 定性分析は常にイレギュラー。経験に頼っていたのでは難しい。
8. 実サンプル(混合物)に対する定性分析法の手順は教科書・参考書には載っていない。※ 本セミナーでは、特別に講師が皆様の分析実務のご相談に乗ります。
主な受講対象者
- 分析経験3年以上の分析技術者。
- 定性分析をどこから着手して良いのか分からずお困りの分析技術者。
- 受講検討の目安として科学的手法による貨物損傷の原因調査をご覧ください。
※ここでいう異物とは、混合物であり、マイクロリットルあるいはミリメートルサイズ以上の肉眼で識別し得るもので、このセミナーはその鑑定を目的とします。
セミナープログラム(予定)
A はじめに
(1) 異物分析に必要な知識と道具
(2) トラブル事例(産業事故)
(3) 七つ道具とは(異物分析)
(4) 異物分析の進め方B 必須の基礎知識
(1) 知識1 命名法と官能基(化学反応)
(2) 知識2 有機概念図(分子極性)
(3) 知識3 イオン平衡の法則
(4) 知識4 分光スペクトル・光の性質C 七つ道具
(1) 道具1 外観・顕微鏡観察
(2) 道具2 溶解性/分子極性(有機概念図)
(3) 道具3 呈色反応・簡易定性(スクリーニング分析)
(4) 道具4 赤外線吸収スペクトル(FTIR)
(5) 道具5 走査電顕-X線分析(SEM-EDX)
(6) 道具6 ガスマス分析(GCMS),X線回折(XRD)
(7) 道具7 サンプル前処理(採取・分離・分画)D まとめ
(1) 異物鑑定分析フロー(典型例)
(2) まとめ(知っておくべき事項)
講師プロフィール
新堀 清正(しんぼり きよまさ)
元 一般社団法人日本海事検定協会 理化学分析センター長
日本海事検定協会の理化学分析センターにおいて、約35年間にわたり流通貨物等のトラブル原因調査を中心に分析業務を担当し、10年間はセンター長(理事)として勤務。 現在も同分析センターで技術顧問として職員の研修などを担当。
再生資源燃料等の危険性評価方法とその評価、燃料乳化による排気浄化に関する調査、舶用ディーゼル機関燃焼残渣物調査、アスベストの無害化に関する研究、バイオ燃料(BDF)のフィルター目詰まりに関する調査、特定特殊自動車に係る使用燃料油実態調査などを行ったほか、石油試験方法工業標準原案作成委員会の委員なども歴任。
- 産業事故としてのトラブル原因調査など約2000事案の分析を担当。(異物鑑定・変質・変形・異臭・着色・変色・腐食・破損・スラッジ・異同識別など)
- 長期研究として、平成元年から17年間にわたり、国家備蓄原油のスラッジ(堆積物)の堆積メカニズム・堆積抑制・堆積予測などを研究。[※学会発表:石油学会・舶用機関学会・IASH(International Conf. on Stability and Handling of Liquid Fuel)等]
- 2011年~2021年:関東学院大学 非常勤講師