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自動車の運動性能の適正化・向上に必要な前提知識を1日で習得!
自動車の運動性能の基礎と
サスペンションチューニングの勘所
講座概要
サスペンションは、不快な振動や騒音を低減し、車の乗り心地を向上させるだけでなく、車輪に加わる力をうまく車体に伝え、車両の運動性能に深く関係する装置です。したがって、車とその部品の技術開発に携わる方々にはしっかり理解いただかなければならない重要なものです。
本講座では、このサスペンションをより深く理解するため、自動車の運動理論に登場する重要概念を広く把握していただくことを目的としています。
最初に自動車の走行安定性と安全(自動車の走行メカニズム、自動車の運動~タイヤの役割、安定性、ブレーキング、旋回特性、サスペンションの影響、限界性能、運転のしくみ、ドライビングシミュレータ、自動運転の状況等)について紹介します。
次に、走る、曲がる、止まるという自動車の主たる機能をつかさどるシャシー技術(運動性能)の適正化(サスペンションチューニング)を中心に詳しく紹介します。
具体的には、コーナリング限界性能だけでなく、日常走行の安全の上でも、経験と勘に頼るのではなく、基礎からサスペンションを知り理論的に裏付けされたチューニングが肝要になります。そこで、本講座では、その基礎知識に加え、実践的な各種専用機器も紹介、サスペンションチューニングについて、もっと知りたい人の要求に応えました。
そして、近年、自動車業界で非常に力を入れている、ASV(先進安全自動車)、また、自動車は人を含めたシステムとして考える必要が有るので、マン・ビークルシステム(人~自動車系)等について紹介します。
さらに、ものづくり例として、フォーミュラカー設計等において重要となるサスペンションジオメトリー等についても紹介します。
(受講に当たっては、自動車の運動と制御に関心があると理解が深まります。)※技術的課題をお持ちの方は、一般化するなど公開可能な形式で事前にお知らせください。
当日の講義では、それらを可能な限り回答いたします。期待される効果
- 自動車のタイヤの力学、サスペンションのメカニカルコントロール、そして、自動車の運動と制御に至る、幅広い知識が修得できます。
- 進化する運転のメカニズムや自動車の運動をコントロールする最先端技術についても把握できます。
- 自動車に関する機械設計(開発)の実践的応用について、最新の事例を通じていくつかヒントが得られます。
- サスペンションチューニングについても、講師が開発した技術の詳細開発を含めて、技術動向等を把握できます。
主な受講対象者
- 普通自動車、大型自動車、特殊車両などの輸送機器などにおける運動性能の研究開発に携わる方のうち、新人・若手・中堅の方。
- シャシーの設計など自動車の機械設計開発に携わる方のうち、新人・若手・中堅の方。
- 自動車部品やシャシー試験機の開発、設計に携わる方で、自動車の運動と制御にご興味がある方。
- 自動車の自動運転制御に新規参入される企業の技術者の方、サスペンションチューニング等を行っている技術者の方、または自動車工学の履修経験がなく、就職してから本分野を学ぶ必要があると考える学生・社会人の方。
- 工業高校、高専、大学の工業系専攻にて機械工学を履修済み程度の知識がある方で、自動車の運動と制御にご興味がある方。
- 自動車工学を履修済み程度の知識をお持ちで、自動車の運動と制御について復習したい方。
- 自動車の運動と制御に関する研究開発動向を俯瞰したい方。
- 本講義では、演習は行いませんが、高校までの数学・物理の知識があれば理解が深まります。
セミナープログラム(予定)
1.自動車の走行安定性と安全について
(1).自動車の走行メカニズム
走行安定性と安全について、自動車の運動~タイヤの役割、安定性、ブレーキング、
旋回特性、サスペンションの影響、限界性能、運転のしくみ等
(2).ドライビングシミュレータ
(3).自動運転の状況2.サスペンションと操縦安定性の基礎理論
(1).サスペンション特性とその適正化
(2).操縦安定性の基礎理論3.バウンス(上下動)系と自動車の運動の適正化
(1).ショックアブソーバ〜ばね定数のバランス
(2).有効な専用機器の開発例4.ロール系と自動車の運動の適正化
(1).ロール剛性配分、ロールステア等の影響
(2).有効な専用機器の開発例5.コンプライアンス系と自動車の運動の適正化
(1).コンプライアンスステア
(2).有効な専用機器の開発例6.ホイールアライメントと自動車の運動の適正化
(1).トー,キャンバー,キャスター,スラスト角など
(2).有効な専用機器の開発例7.サスペンションジオメトリーと自動車の運動の適正化
(1).車高〜ロールセンター高,ロールステアの関係
(2).ロールセンター高〜ジャッキアップの関係8.ステアリング系と自動車の運動の適正化
9.前後のブレーキ系の自動車の運動の適正化
(1).ブレーキテスターの例
(2).理想的なブレーキ系のバランス10.限界コントロール性と車両の各種試験装置
(1).コーナリングのスキッド限界(タイヤの滑り限界)付近のコントロール性
(2).車両の各種試験装置11.フォーミュラカーの運動性能向上(旋回限界時の車両運動性能)
(1).車両の重量配分の適正化手法
(2).フォーミュラカーの運動性能向上技術※本セミナーをお申込みの方には、野崎先生の著書「サスチューニングの理論と実際」 (東京電機大学出版局)をプレゼントします(お1人様1冊限り)。
標準実施時間 6時間+休憩1時間
講師プロフィール

野崎 博路(のざき ひろみち)
工学院大学 名誉教授
1978 ~ 1980 芝浦工業大学大学院工学研究科機械工学専攻(修士)
2001 博士(工学) 芝浦工業大学 (2001.3)
1980 ~ 1995 日産自動車株式会社 車両研究所等
1995 ~ 2001 日産アルティア㈱開発部(出向)~日産自動車㈱ 退職
2001 ~ 2008 近畿大学(理工学部) 機械工学科准教授
2008 ~ 2010 工学院大学(工学部) 機械システム工学科准教授
2010 ~ 2022 工学院大学(工学部) 機械システム工学科教授
2022 ~ 現在 工学院大学 名誉教授(非常勤講師)
専門: 自動車の運動と制御、人間・自動車系
1980年芝浦工業大学工学研究科機械工学専攻修士修了。同年、日産自動車(株)入社。車両研究所等にて操縦安定性の研究開発に従事。2001年に大学教員となり、自動車の運動と制御の研究、特に、自動車の限界コーナリングと制御の研究および開発を行い、自動車運動制御技術において、外界情報フィードバックとシャシー制御の連動等について研究をしている。
現在、工学院大学名誉教授。自動車技術会フェロー。日本自動車殿堂副会長。
資格: 博士(工学)