≪回路と機構両側面からの放熱アプローチ≫
電子機器の熱対策クリニック
講座概要
近年、あらゆる機器のIoT化が進展し、屋内外を問わず電子基板を搭載する装置が増大しています。これまでも各種電子機器に電子基板は実装されていましたが、半導体の高性能化に伴い発熱量が増大し、熱対策(熱設計)の重要性が増加しています。機構設計(メカ設計)、回路設計(エレ設計)、ソフトウエア設計の各開発段階で熱対策を講じることはできますが、ソフトウエア制御による対策は機器本体の性能に大きな影響を及ぼす場合があるため、メカおよびエレ設計による工夫、すなわちハードウエアによる対策が強く求められます。
本講座は、ハードウエアによる熱対策で定評がある専門家を講師が、機構および構想設計の視点と、基板および回路設計の視点とを融合した熱対策の手法を提案します。
具体的には、電子機器の熱設計の最新トレンドのほか、放熱を促す設計手法や材料の活用法、放熱性を最大限に発揮する放熱・断熱要素を組み込む手法を解説します。
併せて、電源回路素子の発熱やバッテリー大電流回路での発熱等、よく遭遇する不具合事例と対策についても具体的に紹介します。
期待される効果
- 実践的な熱設計の基礎、熱対策方法の習得
主な受講対象者
- ハード開発若手設計者
- 熱対策を構築したいプロジェクトマネージャー
セミナープログラム(予定)
1.熱の三原則と電子機器の熱設計トレンド
1-1 熱の三原則(伝導・対流・放射)
1-2 最近の熱設計トレンド(小型電子機器)
1-3 ペルチェ素子と原理2.回路/基板による熱設計と対策
2-1 電子回路の発熱とその仕組み
2-2 信頼性を設計する~発熱と故障、ディレーティング~
2-3 発熱の削減技術
2-3-1 低抵抗化(デバイス選定、駆動方法、回路上の工夫など)
2-3-2 低電圧化(FPGAやCPUなどで使われる低消費電力化技術とIOでの注意点)
2-3-2 低速化(クロック制御(ソフトウェア制御)による熱マネージメント)
2-4 半導体の放熱設計~放熱と熱抵抗~
2-4-1 半導体素子の熱設計
①熱抵抗と放熱経路の基本
2-4-2 実際の機器での放熱
①放熱器(ディスクリート素子)/②放熱パッド/③ヒートスプレッダ3.回路 不具合事例
3-1 電源回路素子発熱に伴う周辺部品温度上昇
(輻射熱による温度上昇に起因する不具合)
3-2 MOS FET電源ON/OFF回路における電源電圧変動によるON抵抗の変化と制御素子の発熱(バッテリー(Li系)大電流回路等での不具合)
3-3 放熱パッド付面実装電源ICにおける温度上昇
(放熱不足:熱伝導(伝達)経路設計の不備による不具合)4.構造熱設計の勘どころ
4-1 TIM(Thermal Interface Materials)の種類と特徴・使い分けのコツ
①放熱シート、②サーマルグリス、③両面テープ
4-2 放熱材料
4-2 放熱、断熱、耐熱、遮熱
4-4 低温火傷
4-5 放熱検討部位とそのポイント5.熱構造設計に起因する不具合事例
5-1 熱対策は設計初期からか、不具合がわかってからか
5-2 グラファイトシートの使い方間違い6. 熱シミュレーション(CAE)
6-1 熱抵抗(計算)
6-2 シミュレーションのコツと解析結果の考察方法
6-2-1 簡易熱CAE(熱分布)
6-2-2 パワーモジュール熱CAE
講師プロフィール
鈴木 崇司(すずき たかし)
神上コーポレーション株式会社 代表取締役CEO
構造アナリスト
- 共同技研化学株式会社 技術開発次長、品質管理次長、ラジカルプロダクト部(技術営業)次長
- 富士通株式会社 モバイルフォン事業部 機種開発チーム、CAE共通チーム、組立(VPS)共通チーム
などを経て現職。
機械設計、特に小型高密度実装が必要とされる製品について高度な知見を有しており、機構設計に必要なアクリルポリマーフィルムなど材料開発業務の経験も豊富。
設計の上流工程のみならず、製造フェーズまで含めたトータルなものづくりの知識を有している。
「匠のコンサルタント」として技術指導実績多数。
多胡 隆司(たご たかし)
神上コーポレーション株式会社
回路技術顧問
- ソニー株式会社 ディスプレイ事業部、ライフサイエンス事業部
- 株式会社Liberaware 開発部 マネージャー
などを経て現職。
ソニー在籍時にライフサイエンス事業部(FCM開発チーム)や、ディスプレイ事業部(超高精細システム開発チーム)などに在籍し、おもに同社製品の電気設計で実績を上げる。
設備点検用ドローンを手がけるスタートアップ Liberaware社では技術開発部マネージャーとして活動。