現場情報を図面に盛り込むテクニックを伝授!
やさしい図面の書き方 図面情報編
講座概要
機械図面を描く場合、最新のJIS製図に従って描く必要があります。しかしJISのハンドブックや教科書には、実務設計に合致した全てのパターンが記載されているわけではありません。そうなると加工や計測の知識が不十分な場合、図面作成に時間が掛かるだけでなく、読み手に理解しにくい図面になってしまいます。
加えて、昨今のベテラン技術者の定年退職、中堅技術者や若手技術者の離職により、設計のみならず製造現場での人材不足が顕著になってきています。最近は、設計現場と加工現場が離れているという事態もままあり、設計者が加工現場を目にして学ぶことができないだけでなく、加工者とコミュニケーションをとることも難しいケースが多々あります。特に若手技術者は、加工や計測の経験がない状態で設計の実務につく状況となっており、これらの十分な知識がないまま図面を作成することが増えています。その結果、設計者の見えないところでコストが増大しています。
本講座では、加工や計測の知識を得ることで正しく設計形状に表し、記号や注記などを使って図面に必要十分な情報を表現できる知識を得ることを目的としています。
加えて、受講者には設計意図を表す情報に加えて、設計者が行うデザインレビューだけでなく、現場の加工者も納得して作業できるよう、図面の解釈に一義性をもたせるとともに加工及び計測にとって都合のよい情報を“盛り込む”ことでベテラン設計者のような図面を描けるようになることを目標としています。
期待される効果
- 加工技術の幅広い知識の習得
- 設計に加工や計測の知識を活かすことができるようになる
- JISの製図ルールに則った図面にさらに一段階上の現場を考慮した図面を作成することができる
主な受講対象者
- 製造業(業界は問わず)の製品開発、設計、企画に携わる技術者
- 設計・製図歴4~7年目程度の方
セミナープログラム(予定)
1.製図の基本と応用
まずはJIS規格を守ること!(基本)
JISの作法にない情報は自らの考えを盛り込でんよい(応用)
JISにない現場情報を盛り込み、完成度の高い図面を作成(本講座のゴール)2.設計意図を表す図面
- 設計意図を表す図面とは
- 組立基準と機能基準
- 設計意図を寸法だけで表せるのか?
3.設計の要素を図面に盛り込む
- ブロック状部品の設計要素
- シャフト(円筒部材)の設計要素
- アングルブロックの設計要素 ほか
4.加工の知識を図面に盛り込む
(1)材料の知識
普通鋼/特殊鋼/鋳鉄/アルミニウム ほか(2)切削加工(旋盤・フライス盤)
旋盤加工の加工精度(基本公差)/幾何特性の崩れ要因/旋盤加工の加工精度(表面粗さをどの程度仕上げる)/フライス加工部品の設計のポイント(3)穴加工
図面での穴加工の表記方法/穴径に対する穴深さの限界/端部に近い穴の最小肉厚(4)特殊加工(放電加工・レーザ加工)
形彫放電加工の利点/ワイヤ放電加工の盲点/細穴放電加工/レーザ加工の種類と注意点 ほか(5)研削加工
平面研削加工/円筒部材の研削加工/切削加工と研削加工の相違/支持記号の注意点/平面研削の設計のポイント ほか(6)板金加工
板金材料の種類と規格/板金加工の流れ/パンチ・プレス加工と設計上の留意点/パンチの形状と曲げ加工の限界/曲げ加工の設計上の留意点/曲げと穴位置の設計上の留意点/3DCADによる板金設計の弊害(7)熱処理・めっき
焼入れ硬さ/焼入れに関する注記/めっきの種類/新旧めっき記号/めっきに関する図面のポイント/そのほかの表面処理5.図面をレベルアップさせるテクニック
- 穴の機能を表現するテクニック(形状の機能までを描く/寸法数値の桁表示が割るとどうなる?/意図が明確にならなない用語を使用すると?)
- 要求する 領域や部位を明確にするテクニック(ex.公差適用部位を明確に指示するには?)
- 工程別の寸法を明確にするテクニック
- 工程の条件や自由度を明確にするテクニック
- JISをベースに現場のエッセンスを図面に盛り込むには?
標準実施時間 6時間+休憩1時間
その他
※ワークシートにフリーハンドで作図する演習を行います。
筆記用具、4色ボールペン、電卓(スマホ可)をご持参ください。※テキストとして使用する、製図教育の第一人者である 山田 学 氏 の著書 『図面って、どない描くねん!Plus+』(日刊工業新聞社)をプレゼントいたします。(お1人様につき1冊限り)
当書籍や教材の送付先について、本セミナー受講料請求書の送付先(お申込時の住所)とは別の住所でご希望の方はお申しつけください。
講師プロフィール
今井 誠(いまいまこと)
日本アイアール株式会社 技術コンサルティング部
株式会社リッジリフト 代表取締役社長
やなか技術士事務所 代表
日本技術士会(正会員)、千葉工業大学技術士会(理事)
技術士(機械部門、金属部門)、応用情報技術者、
エックス線作業主任者、研削といし特別教育、
3次元CAD利用技術者試験2級、3Dプリンター活用技術検定 など
大学卒業後、機械系メーカーや特許事務所を経験の後、2020年に「やなか技術士事務所」代表として独立。
型彫放電加工において、微細深穴加工、超硬材や脆性材の加工技術の開発を行うとともに、型彫放電加工においてネックであった生産性の低さを、電極の成形時間及び再整形時間に着目し、WEDG法(ワイヤー放電加工の一種)を活用することでこれらの時間を短縮し、生産性の向上を図る。WEDG法を導入するにあたっては、型彫放電加工機に設置するためのWEDG装置を発案、設計、製作、評価までを一貫して担当している。
また、工業用ダイヤモンド、サファイア等の工業用宝石の加工方法等の開発経験から、幅広い 加工技術及び社内加工設備の設計、試作、評価までの製造技術全般を得意としている。
近年では、3Dプリンターに着目し、FDM型及びSLA型の3Dプリンターの導入経験及び3Dプリンターについて広く知識を有しており、企業等における3Dプリンターの導入支援を行っている。
★【会場受講】、【Live配信受講】、【アーカイブ配信受講】のいずれかから、ご希望される受講形態をメッセージ欄に明記してください。