コーティング膜および機能性材料の付着・密着性評価と剥離対策
《金属・無機・高分子薄膜材料の最適化と高品位化》
講座概要
多くの機能的な製品が開発される中で、その構造安定性は耐久信頼性や安全性の面で最優先の技術課題です。その中でも、付着剥離性の安定性は重要課題の一つです。付着剥離性の問題は、製品開発の過程や長期実用化の段階で必ず浮上してきます。一般的に、付着現象メカニズムは、付着促進要因(相互作用、表面エネルギー、アンカー効果など)と剥離促進要因(応力、歪み、熱膨張など)とのバランスの結果で説明できます。多くの事例において、複数の剥離要因が同時に作用するため、原因解明と解決策を複雑にしています。そのため、破断(剥離)面観察、要因特定、対策を効果的に実施することが必要です。
本セミナーでは、コーティング膜や材料の付着、密着現象から始まり、実際の付着力測定から解決に至る過程を解説します。金属、無機、有機などの幅広い材料を対象として、コーティング膜、フィルム、極薄膜、積層膜、微粒子等の付着剥離事例と解決方法を紹介しています。多くの付着トラブル事例に基づいて、具体的な解決へのアプローチを習得していただけます。また、付着剥離の試験方法について幅広く学んでいただけます。
受講者の方々が抱える日頃の技術トラブルや技術開発に関するご相談にも個別に対応します。
※質疑応答時に他社の参加者様に開示できない内容の質問をされたい場合、事前に事務局にご連絡ください。質疑応答時間に、一般的な質疑応答が終了した後、ZOOMのブレイクアウトルームにて時間内に個別質問が可能です。
期待される効果
- 付着剥離に作用する要因とメカニズムの理解
- 実際の付着トラブルの解決への取り組み方法
- 付着・剥離の測定解析手法の理解
主な受講対象者
- 薄膜、コーティング、電子産業分野で薄膜技術および付着・密着分野に従事する技術者
- 薄膜応用製品の業務に携わる方
- 製品・開発を生産する方
- 技術指導をする方
など、初心者から実務者まで広範囲の方を対象としています。
セミナープログラム(予定)
1.付着剥離を支配する要因
分子間相互作用力(L-Jポテンシャル)
表面間相互作用力(平面-平面間、平面-球間、球-球間)
表面エネルギーγと付着仕事Wa(ドライ中の付着性)
界面浸透エネルギーS(ウェット中の付着性)
凝集力、合金層、相互拡散層(破壊起点)
応力集中とマッチンング(熱膨張係数)
WBL(表面弱結合層)
表面粗さ(アンカー効果)
実効付着面積(狭ギャップ乾燥)
ナノ粒子の付着凝集性(サイズ依存性、Derjaguin近似)2.付着剥離試験法の原理と実際
クロスカット法(剥離モード、接着テープ)
剥離試験1(90度、180度、T字剥離、ジッピング)
剥離試験2(温水、熱水)
スクラッチング試験(一定荷重、、連続荷重)
はんだシェア破壊試験(シェア角度依存性)
超音波剥離試験(亀裂進展)
SAICUS法(斜めせん断剥離)
摩擦・摩耗試験(ピン、球体)
疲労破壊試験(繰り返し破壊)
インデント試験(弾性率、stiffness)
応力測定(歪み検出法)
偏光解析(膜応力分布解析)
AFM直接剥離法(DPAT法・微細構造剥離)
ピンホールチェッカー(コロナ・アーク放電)3.付着力改善プロセス技術
ハードベーク(熱硬化性樹脂)
応力緩和(弾性率、形状、膜厚)
UV処理(極性基付与)
シランカップリング処理(疎水基付与)
界面活性剤(低表面張力)
ブラスト処理(研磨剤放射)
プラズマ処理(親水基形成)
コロナ放電処理(親水基形成)4.参考資料
・塗膜トラブルQ&A事例集(トラブルの最短解決ノウハウ)
・表面エネルギーによる濡れ・付着性解析法(測定方法)5.質疑応答
(日頃のトラブル相談、研究開発相談に応じます)その他
【複数名受講割引あり】
同一企業様から複数名同時にお申し込み頂くと、人数に応じて下記割引が適用されます。
[2名様⇒20%、3名様⇒30%、4名様⇒40%、5名様以上⇒50% の割引となります]
講師プロフィール
河合 晃(かわい あきら)
アドヒージョン株式会社 代表取締役社長
(会社HP: http://www.adhesion.co.jp/ )
国立大学法人長岡技術科学大学名誉教授
三菱電機(株)ULSI研究所にて10年間勤務し、製品開発・試作・量産移管・歩留り・工場管理の業務に従事し、製品の高精度なコーティングおよび表面処理技術開発に従事した。その後、長岡技術科学大学にて勤務し、機能性薄膜、接着付着制御、表面界面制御、ナノデバイス、クリーン化技術などの先端分野の研究を実施してきた。各種論文査読委員、NEDO技術委員、国および公的プロジェクト審査員などを歴任。
現在、長岡技術科学大学名誉教授、ならびに技術コンサルティング会社として、アドヒージョン(株)代表取締役社長を務める。
著書39件、原著論文166報、国際学会124件、国内学会212件、特許多数、受賞多数、講演会270回以上、日本接着学会評議員、応用物理学会会員、産学連携・技術コンサルティング実績350件