インド特許データベース「InPASS」の使い方|検索・ステータス・包袋の確認方法
「InPASS」(Indian Patent Advanced Search System)は、インド特許意匠商標総局が提供する公式の無料特許データベースです。
インドにおける特許出願の検索をはじめ、審査状況や登録原簿など、インド国内の特許情報をオンラインで幅広く確認できます。
インド市場への参入を検討する際や、現地における競合他社の権利状況を把握する際に、重要な情報源となります。
InPASSは誰でも無料で利用できる一方、システム特有の仕様や検索式の入力方法にやや癖があり、初めて利用する際には操作に戸惑うこともあります。
そこで本記事では、InPASSを実務でスムーズに活用できるよう、主要機能と基本的な操作方法を分かりやすく解説します。
1. InPASSでできること・主要機能の整理
■ InPASS(Indian Patent Advanced Search System)のトップ画面
https://iprsearch.ipindia.gov.in/PublicSearch/
InPASSのトップ画面には、複数のメニューが用意されています。インド特許の調査実務で主に利用するのは、次の3つの機能です。
(1)Patent Search(特許検索)
条件を指定して、公開特許出願や登録特許を検索するための基本機能です。
- 主な用途:技術動向の調査、競合他社の出願動向の把握、先行技術調査など
- 特徴:発明の名称、要約、請求項、出願人名、IPC分類、日付など、複数の検索項目を組み合わせて検索できます。
(2)Patent E-register(登録原簿の確認)
特許登録後の法的ステータス(権利の状況)を確認するための機能です。
- 主な用途:特許権が存続しているか、年金が納付されているか、権利移転が記録されているかなどの確認
- 特徴:特許番号をもとに、登録原簿上の権利状況、特許権者、年金納付履歴などを確認できます。
(3)Application Status(出願ステータス確認)
特定の出願について、審査がどこまで進んでいるかや現在の具体的な手続段階(ステータス)を調べる機能です。
- 主な用途:自社または他社の出願について、公開、審査、拒絶、放棄、登録などの手続状況を確認すること
- 特徴:出願番号をもとに、書誌事項や現在のステータスを確認できます。また、第一審査報告書(FER:First Examination Report)や出願人の応答書類など、出願・審査に関する書類を閲覧できる場合があります。
2. 各項目の操作・確認方法
(1)Patent Search(特許検索)の操作
InPASSの「Patent Search」画面では、詳細な条件を指定して特許情報を検索することができます。
① 検索対象の選択
画面上部にあるチェックボックスで、検索対象を選択します。
- Published Applications(公開特許出願):公開された特許出願
- Granted Patents(登録特許):特許として登録された案件
② 検索条件の入力
InPASSには複数のフィールド(検索項目)が用意されており、日付や出願人名などの条件を指定して検索できます。
論理演算子のAND、OR、NOTを使用して、複数の条件を組み合わせた検索ができます。論理演算子は大文字で入力します。
また、語尾の変化や表記揺れを含めて検索する場合は、ワイルドカードを使用できます(例:encrypt*)。
詳しい入力方法については、同じメニュー内にある「Help」をご確認ください。
③ 検索結果の表示
検索条件を入力したら、画面下部に表示されるCAPTCHA認証コードを入力し、「Search」ボタンを押します。英字には大文字と小文字が含まれる場合があるため、表示どおりに入力してください。入力漏れがある場合や、操作に時間がかかった場合にはエラーになることがあります。
検索結果一覧が表示されます。
ここで出願番号をクリックすると、その出願の書誌事項や、公開されている明細書などの情報を確認できます。右側の「Application Status」をクリックすると、出願の手続状況を確認できます。Application Statusの詳しい見方については、後述します。
■ 出願の書誌事項や明細書の内容
(2)Patent E-register(登録原簿)の確認
すでに登録された特許の現在の権利状況を確認する場合は、「Patent E-register」を使用します。
① 特許番号を入力
InPASSトップ画面のメニューから「Patent E-register」をクリックして、調査対象の特許番号を入力します。
そして、表示されているCAPTCHA認証コードを入力し、「Show E-Register」ボタンを押します。
② 登録原簿の内容の確認
検索した特許のLegal Statusや年金納付履歴などが表示されます。
■ 登録原簿の内容
E-registerを参照する際に、まず確認したいのが「Legal Status」の項目です。登録後も年金の不納付などにより特許権が消滅している場合があるため、権利状況を調べる際には必ず確認しましょう。
ただし、データの更新時期や回復手続などの影響により、画面上の表示だけでは最新の法的状態を判断できない場合があります。重要な判断を行う際は、年金納付履歴や関連書類も確認し、必要に応じて現地代理人などの専門家に確認することが重要です。
【参考:「Legal Status」の主な表示例】
| ステータス表示 | 状態 | 概要 |
| In Force | 有効・権利存続中 | 特許権が有効に存続している状態です。 |
| Ceased | 消滅・失効 | 年金の不納付により、特許権が失効した状態です。失効した日から18か月以内であれば回復を申請できますが、所定の要件を満たし、回復が認められる必要があります。 |
| Term Expired/ Expired | 存続期間満了 | 原則として、出願日から20年の存続期間が満了し、特許権が終了した状態です。 |
| Restored | 回復 | 年金の不納付により失効した特許が、所定の手続を経て回復した状態です。 |
| Revoked | 取消し | 異議申立て、取消手続、裁判所の判断などにより、特許が取り消された状態です。 |
また、画面下部には、特許年金の納付スケジュールと履歴がテーブル形式で表示されます。
他社特許の侵害リスクを検討する際は、Legal Statusが「Ceased」と表示されていても、回復申請が可能な期間内である場合や、回復手続が進行している場合があります。そのため、Legal Statusだけで判断せず、年金納付履歴や手続書類、データの更新状況などもあわせて確認することが重要です。
(3)Application Status(出願ステータス)と包袋書類の確認
「Application Status」では、特定の出願について現在のステータスを確認できます。
また、審査官が発行した第一審査報告書(FER:First Examination Report)や、出願人が提出した応答書類など、収録されている包袋書類をPDF形式で閲覧・保存できます。
① 出願番号の入力と入力フォーマット
InPASSトップ画面から「Application Status」を選択し、調査対象の出願番号を入力します。そして、表示されているCAPTCHA認証コードを入力し、「Show Status」ボタンを押します。
なお、インド特許の出願番号は、2016年1月1日を境に形式が変更されています。入力時には、出願時期に応じた形式を使用してください。
《出願番号の入力形式の例》
- 旧フォーマット(2015年12月31日以前の出願)
連番/特許庁コード/出願年(例:1234/DEL/2012、1001/CHENP/2008)
スラッシュ(/)を含め、出願番号をそのまま入力します。 - 新フォーマット(2016年1月1日以降の出願)
12桁の数字で構成されます。(例:202044013404)
スラッシュやハイフンを付けず、12桁の数字を入力します。
② 「Application Status」で確認できる項目
検索を実行すると、該当案件の「Application Details(出願詳細情報)」と「Application Status(現在のステータス)」が表示されます。
■ Application Statusの内容
③ 審査書類(包袋)の入手方法
「Application Status」にある「View Documents」をクリックすると、日付順に並んだ審査書類一覧が表示されます。各書類名をクリックすると、収録されている書類をPDF形式で閲覧・保存できます。
■ 包袋書類一覧(一部抜粋)
■ 実際の書類内容(202341056052-FER.pdf)
今回取り上げた事例では、「14/01/2026 202341056052-FER.pdf」が審査官から発行された第一審査報告書(FER:First Examination Report)、「26/05/2026 202341056052-FER_SER_REPLY [26-05-2026(online)].pdf」が出願人から提出された応答書類です。
また、書類一覧中の各種Formの概要については、WIPOが提供している「PCT出願人の手引-国内段階-国内編-IN」もご参照ください。
まとめ
本記事では、インドの特許情報検索システム「InPASS」の主要機能と基本的な操作方法について解説しました。
InPASSを活用することで、インドにおける特許出願の検索、審査状況の確認、登録後の権利状況や審査書類の確認などをオンラインで行えます。
ただし、データの更新時期や書類の収録状況などにより、画面上の情報だけでは最新の法的状態を判断できない場合があります。特に他社特許の侵害リスクなどを検討する際は、Legal Statusだけで判断せず、年金納付履歴や関連書類もあわせて確認することが重要です。
なお、外国特許のステータス監視作業(ウォッチング)が面倒な場合は、アイアールが低コストで代行することも可能です。
自社での確認作業に負担を感じている場合は、お気軽にご相談ください。
※詳細は「他社特許のウォッチング(監視)サービス」のページをご参照ください。
(日本アイアール株式会社 管理部 H・M)
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