MC法はフラクタル思考
1. MC法とは、1対多の発想
MC法とは、表面が3行3列の9面のマトリックスで裏面が白紙である情報カード(以下、これをマトリックス・カードと呼ぶことにする)を使用して、1対多(3行3列であれば、中心の1セルとその周辺を取り囲む8セルという関係が成り立ち、1対8という関係になる)という「思考の場」で問題を解決しようとする手法を言います。
2. フラクタル思考
密教の「曼陀羅絵図」の構造には、1対多の「思考の場」のほかに、もう一つの構造が隠されています。それは、1対多の「思考の場」の繰り返し構造です。この構造を有するがために、部分と全体とが相似関係であるという性質が生まれます。
実は、この仕組みは、自然界ではフラクタル構造と呼ばれ、一つの研究分野を築くほどのテーマとなっています(「フラクタル科学入門」、三井秀樹著、(株)日本実業出版社、平成2年8月30日発行)。
3. なぜフラクタル思考を使うのか
世の中には、発想技法とか創造技法とか呼ばれているものが、160を超えるくらい紹介されており、その数はどんどん増えています。これらたくさんの発想技法や創造技法がある中で、なぜ「フラクタル思考法」を使うのかといえば、簡単で分かりやすいからです。
使い始めたその日から、いろいろな問題の解決に使うことができます。と言っても、「フラクタル思考」の基本的な構造が頭でわかっても、具体的な問題を解決する段になると、戸惑ってしまうことが無いわけではありません。
今までの直線的な「この次はこれ、次はこれ、・・・」といった時系列に従った思考法に慣れすぎた頭では、発散思考を基本とする「フラクタル思考」に違和感があるのが当然です。
できれば、ハードルは低い方が跳びやすいです。そこで、私は、簡単で分かりやすい「フラクタル思考」をもっと使いやすく分かりやすくすることを考えました。その結果誕生したのが、表面が3行3列の9画のマトリックスで裏面が白紙である情報カードをゲーム感覚で操作しながら自然に「フラクタル思考法」が身に着くようにした「MC法(マトリックス・カード法)」です。
4. MC法の用途
MC法に限らず、「フラクタル思考法」の用途は多様です。情報収集、個人のスケジュール管理、人生の計画、会社経営、新しい概念の理解にとどまらず、新しい概念の創造や法律問題の検討にも使用できます。
私の専門分野が発明・特許ということもあって、MC法の活用事例は、(1)特許明細書の作成、(2)発明技法、(3)パテントマップ、(4)条文の解釈、(5)特許用語辞書、(6)発想支援辞書、(7)特許解析、(8)知的財産管理等、いわば知的財産分野への応用事例が多くなってしまいますが、これらに限られるわけでは無いことを付け加えておきます。
特に、プレゼンテーションのツールとして最適ではないでしょうか。私は、セミナーの講師を依頼された場合には、このMC法でセミナーの企画を練り、MC法で資料を作成してOHPシートにコピーして使っています。この結果は、受講者から内容が分かりやすいと好評です。これも、フラクタル思考の基本図形に隠された一目で分かる表現力のお陰ではないかと思っています。
コミュニケーションのツールとしても役立ちます。