パートⅡ:なぜ、特許が重要視されるようになったのか
1. 今更の話しではなく、特許は昔から重要であった「無断で人の真似をしてはいけない。」
1)基本は個人が持つ「知的財産」の尊重である。
真似をしたいときは、相手の許可を得て、相応のお礼をする。
2)特許制度の趣旨は
「新しい技術(発明)を開示して、産業発展のために役立たせる。
その見返りとして、一定期間の独占権を与える」と、あります。
2.近年、特許が重要視されるようになった背景
1) きっかけはアメリカのプロパテント政策であった
知的財産権の保護と強化で、弱点は保護する(基本的な技術、アイデイア)
強みは更に強化する(IT、バイオ、軍需技術 等)
2) 知的財産権のグローバル化
新興国へ製造拠点を移す(コスト削減&技術援助(?))
新興国の市場を開拓する(先進国は成熟・衰退期にある)
新興国で研究開発をする(新興国でのニーズを開発する)
3)知的財産権が多様化している
「グローバル知財」により知財の活用方法が変わった
知的財産の活用は、「競争」と「共生」の時代へと突入した
【アメリカのプロパテント政策が生まれた背景】
(1980年,レーガン政権時のヤングレポート&スーパー301条)
1)アメリカの「物つくり産業」が崩壊して大不況となった(1970年代)
2)日本の「物つくり」に負けた結果「知財権」で経済の復興を企てた
3)目的は、お金持ち日本企業から「カネ」を召しあげること(?)
4.)この不況はアメリカの産業構造の転換を加速させた(転換期でもあった)
(実体経済(ものつくり)からバーチヤル経済(マネー)への転換である)
5)産業構造の転換が巨大な情報産業を生み出した
(その結果、「IT技術」がアメリカの経済を支えることになった)
6)パテント・トロール(パテントヤクザ?)ビジネスの出現
7) 内外国で侵害事件が多発して、賠償金額も大型化された
(プロパテント政策による弊害が、多発した。パテント政策の再構築が必要)
8) 日本は、アメリカのパテント政策に振り回されている
【参考:情報の価値に着目していた、1970年代のアメリカの注目すべきレポート】
1) 経営者やリーダーは、情報を効率的かつ創造的に使うべきである
2) つまり情報マネジメントを新しい面からみられるように訓練・教育されるべきである
3) 情報は資源である。かつ最小限の必要経費である。情報はお金を出してでも買うべきである。(情報活用が「インテリジェンスを鍛える」)
(比較して日本人は「インテリジェンス度は極めて低い」情報はタダ(?)と思い込んでいる)
(知識だけ得て行動はとらない(?)これが日本人の勉強法(?))
勉強は知識を得て行動する、ことを起こすためにするものである(吉田松陰)
4)情報を活用することが、売上・利益を開拓するものである
5) 情報を活用することが、競争上、優位になることが保証される
6) 情報は自分なりに構造化・再構造化を繰り返しリァルタイムで発信する
(視点を変えてみる/発想を転換させる/情報をアレコレと引き回す/常識を打破する(研究の、市場の、業界の、社内の)/新しい発見に出会うために情報は使うべき)
【知的財産のグローバル化について】
1)世界大競争の中で、コストダウンを目的とし、新興国へ生産拠点をシフトした。
(上流(研究)は日本、中流(ものつくり)は中国、下流(消費)は日本を初め先進国という考え)
2) しかし「物つくり」を始めれば、技術移転は急激に進み、いずれはライバルとになり、やがては追い抜かれる時が来る。
(いつも先を走れる保証はない、必ずや、成熟、衰退期を迎える)
3) 実際に「物つくり」をしている処へ、その地域のニーズが入り、ものつくりのノウハウが貯まっていく。
(新しい周辺技術(応用、改良、機能変更、生産技術等)が生まれ特許として出願される)
4) 新興国は、知的財産権を取得していく。
(先端技術とかローテクは関係ない、カネを稼ぐ特許が良い特許である。)
【日本の知財はグローバル化に対応できないでいる】
日本企業は社会の変化に気づいていない、これまでの「ストック」が自信過剰となり新興国を下に見ている。日本人は急激な変化を嫌う為、スピード感が無い。
1) お粗末、意味不明な特許明細書では権利を正しく行使できない、或いは守れない
2) 世界で通用しない(戦えない・理解が得られない)特許明細書は「紙クズ」同然である
(ライセンス収入なんてとんでもない話である)
3)合法的な模倣品がどんどん出てくる。泣き寝入りするしかない!
4)模倣品は進化をし、やがては模倣品ではなくなる。逆に日本企業が中国企業の特許権を侵害することになる
(先端技術とかローテクは関係ない、カネを稼ぐ特許が良い特許である。)
知的財産化とは発明、ノウハウ、システム、商品といった知的資産をドキュメント(文書化)することである
日本国内で特許を取るための「特許明細書」の書き方が問題、世界を無視している
排他権を重視した特許出願に偏り、「活用面」での課題が残る
これからは知的財産が持つ「共生」と「競争」の二面性を使いこなす必要がある
【参考:日本がアメリカの真似をした「日本版プロパテント政策」の概要について】
1) 法改正をして、ものまね商品の「やり得」をなくした(賠償金額の改正等)
2) 知的創造サイクルを提唱したが(?)(絵に書いた餅)
3) 特許の活用を促した
休眠特許を活かす/技術移転を促進/産学官連携の強化/知財人材の育成
4) 「知財立国日本」の実現のため、多額の税金を投入したが、効果は不明
5) いまだに抜本的な問題には手をつけず(気がつかない?)、改善がされていない
【参考:日本がアメリカの真似をした
「日本版プロパテント政策」の概要について】
「知財立国日本」を実現させる基本は、世界で通用する特許出願明細書を作成することである
特許出願明細書の品質向上がなくて、世界で通用する知財戦略は成り立たない。世界の人から理解が得られないガラクタ同然の特許出願明細書が及ぼす影響は甚大なり。いくら読んでも意味不明の欠陥特許明細書が、悪の根源である。
不明瞭な国内特許明細書が及ぼす経済的損失
1)ライセンス収入が得られない
2)研究開発の重複がでる
3)先行技術調査の手抜き
4)特許庁の審査が非効率(遅れる)
5)学生の技術離れ
6)当業者以外は関心を持たない 等
不明瞭な外国(英文・中文等)特許明細書が及ぼす経済的損失
1)ライセンス収入が得られない
2)特許侵害訴訟の餌食になる
3)他者の侵害を訴訟できない
4)日本人の知性が疑われる
5)翻訳ソフトが使えない
6)中間処理の回数が増える 等