第七章 「開発成果展開マップ」から特許明細書(案)への変換
第七章 開発成果展開マップから特許明細書案への変換
1. 開発成果展開マップから特許明細書案へ
「開発成果展開マップ」は、発明説明書(発明提案書)としての必要な内容が記載されていますが、特許明細書そのものではありません。そのため、このまま特許庁へ提出するわけにはいきません。そこで、 「開発成果展開マップ」を特許明細書の様式に合わせる作業が必要となります。「開発成果展開マップ」を特許明細書の様式に変換したものを特許明細書案と呼ぶことにします。
後は、この特許明細書案を特許担当者や弁理士に提出し、特許庁へ提出できる特許明細書にしてもらうことになります。MCのフラクタル構造が理解できる方には、「開発成果展開マップ」が発明説明書として理解できるため、あえて特許明細書の様式に変換しなくとも(特許明細書案を作成しなくとも)、「開発成果展開マップ」を直接特許明細書を作成する際の参考資料とすることができます。この場合には、変換の手間が省けます。
2. 変換の手順
「開発成果展開マップ」には、空間配置型と時間配置型が考えられます。
発明を把握する場合には、発明の目的、発明の構成、発明の作用、発明の効果等の配置に意味を持たせた空間配置型が理解しやすく便利です。しかし、特許明細書という特許法が要求する様式においては、記載の項目とその順序が決められていて、これを守らなければなりません(「第3図 特許明細書の様式」を参照のこと)。
そこで、空間配置型の「開発成果展開マップ」を時間配置型に変換する必要があります。空間配置型の「開発成果展開マップ」では、中心のカードが「発明の名称」、「発明の目的」が真ん中の列の上のカード、「発明の構成」が真ん中の列の下のカード、「発明の効果」が真ん中の行の左のカード、「発明の作用」が真ん中の列の右のカード、つまり、発明の四要素が上下左右の位置を占めています。
①「従来の技術」は「発明の目的」に関連するためその右隣のカードに、②「具体例、変形例、応用例」は「発明の構成」の下位概念、同位概念、上位概念に当りそのカードの左隣のカードに、③「実施例の作用」は「発明の作用」の下位概念に当るからその下隣のカードに、④「実施の形態、実施例の効果」は「発明の効果」の上位概念に当るからその上隣のカードに、それぞれ記載されることになります。
その上隣のカードに、それぞれ記載されることになります。
これに対し、時間配置型の「開発成果展開マップ」では、特許明細書の記載項目順に配置されます)「第4図 開発成果展開マップ(時間配置)を参照のこと」。中心のカードに「発明の名称」、その下のカードに「従来技術とその問題点」、その左のカードに「発明の目的(解決課題)」、その上のカードに「発明の構成(解決手段)」、その上のカードに「発明の作用(解決原理)」、その右のカードに「具体例、変形例、応用例」、その右のカードに「具体例、変形例、応用例の作用」、その下のカードに「具体例、変形例、応用例の効果」、その下のカードに「発明の効果(解決結果)」といったように、それぞれのカードを「の」の字(時計回り)に時系列に配置します。
すると、特許明細書の記載項目の順序である、①【発明の名称】→②【従来の技術】→③【発明の属する技術分野】、【発明が解決しようとする課題】→④【課題を解決するための手段】(【特許請求の範囲】)→⑤【発明の実施の形態】→⑥【実施例】(具体例、変形例、応用例の構成)→⑦【実施例】(具体例、変形例、応用例の作用)→⑧【実施例】(具体例、変形例、応用例の効果)→⑨【発明の効果】のように記載された発明説明書(発明提案書)が完成されます。
実際の特許明細書の様式では、【特許請求の範囲】は【発明の名称】の後で【発明の詳細な説明】の前に配置され、【従来の技術】は【発明の属する技術分野】と【発明が解決しようとする課題】の間に配置されます。
そこで、アプリケーションソフト「MEMODAS」を使用する場合には、移動したい内容を指定してカット(切り取り)し、移動すべき箇所にペースト(貼り付け)を行うといった作業をして、いくつかの箇所に点在している同一項目の内容を一箇所にまとめたり、一つの項目(1枚のカード)をそっくり必要な箇所へ移動することもできますので、この機能を使って特許明細書の様式に合わせることにします。
アプリケーションソフト「MEMODAS」では、9枚のカードを時系列に並べた状態(「の」字に関係線でつなぐ)でファイル出力を指示することにより、各カードに記載された内容が並べた順番でアウトライン状(箇条書き)にワープロソフトに持っていけますので、その他の細かな編集をワープロソフト上で行い「特許明細書案」を完成します。
またエクセルへのコンバータソフトも用意しています。