メタンガス、あるいは本当にやばい
メタンガス、あるいは本当にやばい
シベリアの永久凍土が溶け始めている話は、前にも書いたが、最新の調査では、その溶解度がとてつもなく早く進んでいるとのことだ。
The frozen bogs of Siberia
are melting,
and the thaw
could have devastating consequences
for the planet,
scientists
have discovered.
(The Observer September 10, 2006 以下引用同じ)
シベリアの凍った沼沢地が
解けている、
そしてその凍解は
地球に壊滅的な結果を
もたらすかも知れない、
と科学者達が発見した.
They have found
that
Arctic permafrost,
which is starting to melt due to global warming,
is releasing five times more methane gas
than their caluculations had predicted.
科学者たちは
以下を 見つけだした;
北極圏の永久凍土は-それは地球高温化*によって溶け始めている-、
自分達の以前の計算で予測したよりも
5倍ものメタンガスを
放出している.
The level of emission
is alarming
because
methane itself
is a greenhouse gas.
その放出の程度は
危機的である、
なぜなら
メタンそれ自体が
温室効果ガスであるから.
この記事は先週発行された科学雑誌「Nature」掲載の論文に基づいて書かれている.この雑誌はWEB上でも有料なので、私は直接読んでおらず(科学者でもないし)、英国の新聞オブザーバーの記事に基づいて書いている。
前にも書いたように、永久凍土がいったん溶け始めると、そこがより多くの太陽熱を吸収し、更に溶解が加速される。したがって、氷漬けにされていたメタンガスがますます多く排出され、地球高温化*が加速され、それがまた凍土の溶解を加速する。マイナスのスパイラルが始まっていることになる。
*「global warming」は、日本では「地球温暖化」と訳されているが、温暖という語感はプラスのイメージを与えるため、この言葉から危機感がなかなか伝わらない。そのため、私としては、高温化と表したい。
The discovery of these levels of methane release
suggests that
これほどの割合でのメタンの放出という発見は以下のことを示唆している;
the planet
is rapidly approaching
a critical tipping point
地球は急速に致命的な頂点(臨界点)に近づいている
at which
その頂点において
global warming
could trigger
an irreversible acceleration in climate change.
地球高温化は気象異常を回帰不能にまで加速する引き金となるかもしれぬ.
そして分析は示唆している:
The world
has less than a decade
世界は10年以下しか持っていない
in which to halt global warming
地球温熱化を止めるための期間として
before it reaches a point of no return.
その地球温熱化が回帰不能地点に到達するまでに.
この永久凍土にはメタンだけでなく二酸化炭素(CO2)も含まれており、地球上の凍った地帯((frozen zone)には、なんと合わせて450billion tonnes(4500億トン)ものガスが閉じ込められているのだそうだ。そして、メタンは二酸化炭素よりも温熱化に23倍もの影響を与えるのだそうだ。
石油が地球上にまだ半分残されていようがなんだろうが、急速に石油消費の割合を減らさない限り、俺達は「死ぬ」ことになる.もうこのポイント・オブ・ノーリターンは回避できないのかも知れないが、最後の必死の努力をすべきであろう。つまり、もう手遅れかもしれないが、CO2排気を劇的に減らす努力をするしかない。
そんなことができるわけがないと思われるが、何もしないで「暑熱」地獄にあえぐ日を迎えるというのも野暮な話だ.それともやはり、何もしないで、その日がくるまで酒喰らって楽しく暮らすか。
(06.9.11 篠原泰正)