記事・コラム

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水車小屋発電、あるいは女王陛下は本気

水車小屋発電、あるいは女王陛下は本気

事実を知ろうとせず、ある日突然石油が来なくなるという、「天災」に見舞われる。

今日のキーワードは、リニューアブル・エネルギー(Renewable Energy);使っても減らないエネルギー源。

昔の田園風景の典型は、小川と水車小屋と広がる田んぼであった。場所は覚えていないが、子供のころ、どこかで水車小屋をみた記憶がある。ゴットン、ゴットンというリズミカルな響きを覚えているような気がする。

“If the Queen

can do

it,

so can we,”

said

David White,

the secretary to the Stour Vale Mills hydrogroup.

The 12 mill owners

sitting around the kitchen table

nodded in agreement.

–The Guardian, Aug. 1, 2005- 以下同じ–

“女王陛下ができるのなら、俺たちもできるさ”、ということで、ドーセット州(Dorset)の水車小屋のオーナーが12人集まって、発電事業を始めようという事だ。

彼らに先立っての、女王陛下の計画は:

The Queen’s proposal on the Tames

will cost

1 million pounds

and produce

200kW,

enough to light and heat

the vast complex of buildings of her Windsor home.

テムズ河の流れを利用してウインザー宮殿の全光熱をまかなおうというものである。

それに比べると12人衆の計画は、最大の水車小屋でも女王の十分の一の規模しかないが、それでも300世帯に電気を供給できるそうだ。すばらしいではないか。

ピークオイルの現象を迎えて、石油に頼らない代替エネルギー源に手当たり次第にチャレンジするしかない時代に入った。利用しても減ることのないエネルギー源は、太陽と風と海(潮流と潮の干満)と川がある。もちろん、石油を燃やして電気を得る大規模性は望むべくもないので、すべては限られた地域内を賄うだけのシステムとなるだろう。自分たちの使う電気は自分たちで発電する、という時代が始まっている。

女王陛下に先を越されたのは少ししゃくではあるが、さすがアングロ・サクソン!という感じでもある。時代を把握して、システマチックに手を打っていく能力は、まだ大英帝国で衰えてはいないようだ。

Small-scale hydroprojects at mill sites

is the next big push for renewable energy

after wind power,

and much less controversial.

水車小屋を利用しての小規模な水力発電は
リニューアブル・エネルギーとして風力発電の次の大きな前進であり、
(風力発電よりも)あつれきが少ない。

風力発電は高い塔で大きなプロペラを回すので、景観を壊すとか、地元で色々もめることが多いらしい。そこへ行くと、水車小屋はまさに田園風景そのものであるから、反対する人はいないだろう。英国政府は、2020年までに、風力発電で電気の20%を確保するとの目標を掲げているとのことだ。北海油田の生産量が急激に落ち込んできているので、必死なのだ。

石油の全量を輸入に頼っているわが日本はどういう計画になっているのかしら。
人様に命綱を預けっぱなしで、まあ、地震が来ようが、タンカーが空舟(からぶね)で帰ってこようが、その日がくるまで楽しくやろうよ、ということかな。

(05.9.28 篠原泰正)