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グローバル・ウォーミング、あるいはもう一つの大問題

グローバル・ウォーミング、あるいはもう一つの大問題

できるだけ事実を正確につかまないと、まともな改善策は生まれない。

今回は「グローバル・ウォーミング」(global warming)、日本語で言う「地球温暖化」の話を少し。温暖化の結果としての気候異変(climate change)が、ハリケーンKatrinaさんの大暴れでますます印象付けられている.お天気に敏感な僕ら日本人にとっては、異常気候は大いなる関心事だから、ほとんどの人には、地球温暖化は大きな懸念事項となっているはずだ。

しかし、いつも晴れているテキサスで育ったブッシュさんは、太陽に灼かれて暑さに鈍感になっているためか、未だに「別に地球は暖かくなっていない」と、京都議定書(Kyoto Protocol)にもサインしないし、ついこの間の、スコットランドで開かれたG8でもまだ突っぱねている。

それだけに留まらず、「北極圏の氷がドンドン溶けている、大変だ」と世界の科学者300人以上が集まってまとめた報告書(Arctic Climate Impact Assessment)(2004年)に対しても、「結構な話ではないか、これで北極圏の石油・ガス開発が楽になる」、とうそぶくしまつである。

Some officials in the Bush administration

saw the loss

of Arctic ice

and resultant opening of sea channels

as a good thing

for exploration and retrieval of oil and natural gas

from the endangered region.

ブッシュ政権の何人かの高官は
北極の氷の減少と
その結果として航路が開かれる事を
絶滅危惧種生物が生息する地域から
石油と天然ガスを探査し取り出す上では
結構なことであると
みなしている.

しかし、そんなことを言ってはいられないのだ。この30年間ですでに北極海の氷は、テキサスとアリゾナ州を合わせた面積が無くなってしまったとの事だから、これは只事ではない。

Over the past 30 years,

the sea ice extent of the Arctic

has decreased

386,100 square miles

(or Texas and Arizona combined).

更に、1万1千年前、最後の氷河期の終わりに形成されたシベリアの永久凍土地帯-フランスとドイツの国土を合わせた100万キロ平方メートルの広さ-も溶け始めているとの事で、これが溶け始めると、中に閉じ込められていたメタンガスが大気に放出されるから、温暖化はますます加速されるという、恐ろしい話となる。

An area of permafrost

spanning a million square kilometers-

the size of France and Germany combined-

has started to melt

for the first time

since it formed 11,000 years ago

at the end of the last ice age.

It will release

billions of tones of methane,

a green house gas,

20 times more potent than carbon dioxide

into the atmosphere.

二酸化炭素よりも20倍も強力なメタンガス(温室効果ガス)が、何十億トンも大気の中に放出されることになる。

このままだと、海面が上昇して、私が生きているうちに、東京もヴェニスの如く水の都となり、今住んでいる日暮里から、旧石神井川の川沿いに(現在の不忍通り)、水上バスで銀座まで通うことになるか、それとも銀座の海抜はわずかに3メートルだから水没してしまっているか。

(05.9.14 篠原泰正)